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終わりと始まり
俺はパトカーの後部座席で長かった昨晩を回想していた。
あの後、全身が濡れた姿の俺を見た警察は自首した事実よりもそちらが気になったようだ。詳しい話はこれからたっぷり彼らに聞かせることになる。
信号待ちの車内に陽光が差し込み両側の警察官が眩しがる。俺は力を込めて太陽を見つめ返した。
どうなろうが俺は今の俺がやるべきことをするしかないんだ。その上でいつか心からやりたいことが見つかればいいさ。
大丈夫、時間はまだまだあるんだから。
それでももし、全てを終えてもやりたいことがなかったら……。
その時はプールサイドに腰を下ろし、一人の女性が書いた小説でも読んで余生を過ごそうと思う。
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