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ドスッ!
「ぐっ・・」
激しい音とともに、呻き声が発せられた。
見ると、地面に倒れているのは、ジョオの方だった。
なんと、そこに立っていたのは、森山 昌也である。
「えっ⁈ 何⁈ えっ⁈ 昌也⁈ どういう事⁈」
貴志が、驚きのあまり声をあげて、理解出来ずに困惑していた。
「貴志! 大丈夫か? 待たせたな。」
そう言って、貴志の傍に歩み寄る昌也。
貴志は、昌也を見ながら、自分の鼻血を手で拭った。
「お前、鼻血が出てるじゃん。大丈夫か?」
心配する昌也をよそに、貴志が驚きを隠せずに問いかける。
「何で、昌也? ここにいるんだ?」
「え? 俺か? 夜、駅前のコンビニに行ってたんだよ。そしたら偶然、お前がタクシーに乗って、この外人を追いかけていくところを見かけたから。それで慌てて、俺もタクシー捕まえて、後を追ってきたんだ。」
昌也が、状況を説明してくれた。
「えっ、本当に? お前、ずっとタクシーで付いてきていたの?」
貴志はまだ、半信半疑で尋ねる。
「それで、そこの前でお前がタクシー降りて、この建物の方へ入ったから、俺も急いで後をついてきたんだが。この暗闇だから、お前を見失ってしまって・・。見つけるのに手間取ったから、ちょっと遅くなったな。」
昌也は、自信に満ち溢れた顔で話した。
ジョオはまだ地面に座り込んだまま、自分の腹部を押さえて、苦痛表情を浮かべている。
「くうっ・・!」
貴志が立ち上がりながら、昌也に聞いた。
「来てくれたのは嬉しいんだが・・昌也。お前、こんな危ないところに来て、大丈夫か? アイツら、松田刑事を倒した女たちなんだぞ。」
昌也が、ニコリと笑顔を返して言う。
「まあ一応俺は、松田さんたち刑事に、格闘技を少し習って以来、コツコツと空いた時間に自己訓練してきたんだ。」
「本当に⁈ お前いつの間にそんな訓練を・・。バスケの部活を引退した後、そんな事をしていたのか。」
貴志が、驚きの声で話した。
そして昌也が、座り込んだままのジョオを指差して言う。
「それに・・。コイツを見てみろ。以前、松田さんにやられた肋骨が、まだ痛んでるようだ。これなら、俺たちでも勝てるだろ。」
その時、ゆっくりと立ち上がってジョオが話しかけてきた。
「たかが、高校生のボウヤたち・・。面白い事を言うネ。ストリートや、地下格闘技で闘い続けてきたキャリアの私に、勝てると思う?」
昌也が、両手を組んでポキポキッと関節を鳴らしながら答える。
「お前。元々、男だったんだろ? 女装のような格好をしているが。正々堂々と男らしいところを見せてみろ。」
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