うさぎさん、初めての親離れ

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うさぎさん、初めての親離れ

「ゆきー!朝だよー起きてー!」 朝からリビングで二階の僕の部屋まで届くような大声で起こすのはお父さん。 「…⋯はぁい…」 まだ眠い目を擦りながらベッドから降り、洗面所へと向かう。 そして鏡に映る自分を極力視界に入れないように歯磨きと洗顔を済ませ、お母さんがいる仏間におはようの挨拶をしてからリビングへ向かった。 「お父さんおはよぉ」 「おはよう」 ダイニングの椅子に座りコーヒー片手にテレビを見ているのは僕のお父さんだ。僕の家にはお父さんしかいない。お母さんは僕が小さい時に事故にあって亡くなっちゃったから父子家庭だ。男手ひとつで育ててくれた。 真っ黒な髪は項ほどまでの長さで目は綺麗な二重。鼻筋もスっと通っている。オマケに身長なんて190cm越えだ。 ちなみにお母さんも黒髪がとっても似合う長身の美人さんだったんだよ。 実の息子の僕から見てもかっこいいお父さんはとてもモテたらしい。昔お母さんに聞いたことがある。 僕も中学校の委員会終わりの帰り道、綺麗なお姉さんたちに話しかけられる仕事帰りのお父さんを何度も見てきた。 まあお母さん一筋なお父さんは目もくれないけどね。 しかし、自分はそんな両親に似ていないのだ。 2人とは違うミルクティーベージュな髪色。まん丸でタレ目な二重の目に笑わずとも元からある涙ぶくろ。女の子みたいに長い睫毛、瞳は髪色と同じ。 所々同じパーツなのに全体的に見るとなんでこんなに違うんだろう。 髪色に関してはお父さんもよく分からないんだって。多分家系のどこかに外国の血が混ざっていたのかな? 昔近所のおばさんたちが 「あそこの子、お父さんと全然髪の色違うけど本当に血が繋がってる親子なの?」「昔1度奥さん見た事あったけどあんな髪の色じゃなかったわよ」 なーんて井戸端会議を聞いちゃった時は泣きながら帰ってお父さんに 「僕って本当はパパとママと血が繋がってないの?」って泣いて聞いたっけ。 もちろんお父さんは泣きながら「誰がそんなこと言ったんだ!ゆきは正真正銘ママとパパと血が繋がってる大切な息子だよ」って言ってくれた。 その次の日からあのおばさんたちに会ってもそそくさ逃げられる。 やる時はやる、かっこいいお父さんなのです。 そんなこともあってあんまり好きじゃない僕の見た目。身長も何がどうなって161cm。 両親の要素はどこに行ってしまったんだろう。。 お陰で昔から女の子に見間違えられることが多々あった。 そんな僕にもお父さんと同じところはある。 それは… 『とにかく寂しがり屋なところ』 なんでそんなところが似てしまったんだろう。 どうせならその身長から黒髪からそっちの方が断然似て欲しかった。
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