家族の警備員大吾朗くんとことちゃん【前編】

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家族の警備員大吾朗くんとことちゃん【前編】

ある日、武志と寛子は 愛犬のマロンとミルクを連れて 諫早市にある天満公園に来ていた。 その時にカッコイイわんちゃんたちに 出会ったマロンとミルクは、 すれ違いざまに見とれていた。 その視線に気づいたわんちゃんが マロンとミルクに声をかけていた。 『こんにちは、ぼくは大吾朗。 キミたちのお名前教えて』 『ぼく、マロンだよ』 『あたし、ミルクよ』 『あたし、ことよ。よろしくね』 武志と寛子は、マロンとミルクに 友達ができたことを嬉しく思った。 「こんにちは」 「こんにちは。 ワンちゃんのお散歩ですか?」 「はい、この公園によく来るんです。 私は谷口奈緒美です。 この子たちは、愛犬の大吾朗とことです」 「私は松島武志です。 妻の寛子と愛犬のマロンとミルクです」 奈緒美は、ミックス犬の大吾朗と ことを飼っている。 大吾朗とことは、ミックス犬のなかで 中型犬に属していた。 大吾朗とことは、 保健所から保護した子だった。 奈緒美は、心愛(ここあ)刈愛(かるあ)の飼い主である 麻衣子の同僚だった。 大吾朗とことの出会いは、 奈緒美が保護犬愛護センターの スタッフとして保健所に行った時だった。 奈緒美は、当時飼っていた ミックス犬を亡くしていたので 初めて大吾郎とことを見て、 亡き先住犬の引き合わせだと感じていた。 実は、保健所に行く前の日に 奈緒美は不思議な夢を見た。 夢の中で亡き先住犬であるあんこが 奈緒美に語りかけていた。 『お迎えに行くわんちゃんは、 あたしの生まれ変わりだよ』 「あんこ、待って!」 奈緒美が目を覚ました時に あんこの遺影を見ていた。 「あんこ、わかったわ。 あんたの分まで育てていくわ」 夜が明けて太陽が顔を出した。 奈緒美は、保護犬愛護センターに着くと 檻の中にいた中型のミックス犬である 大吾朗とことを見ていた。 ことの姿を見た奈緒美は、 亡き先住犬あんこと重なって見えたのだ。 「私が飼っていた先住犬にそっくりです。 先住犬あんこは、優しい子でした。 この子は、あんこの生まれ変わりです。 この茶色の子と一緒に育てたいです」 奈緒美は、保健所の職員に 大吾朗とことの里親になる決意をした。 保健所の職員から里親となる書類を 奈緒美に手渡していた。 手続きが終わったところで、 大吾朗とことを奈緒美の家に迎え入れた。 このあと、奈緒美は大吾朗とことが 家に来た時のことを話そうとしていた。 この続きは次回の講釈で…。【後編に続く】
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