家族の警備員大吾朗くんとことちゃん【後編】

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家族の警備員大吾朗くんとことちゃん【後編】

ちょうど、お昼の時間になった。 武志たちは、賢治と静江が経営している 喫茶店に入ってランチをすることにした。 お店に入ると看板娘であるラルナが、 来店するお客様を出迎えていた。 ラルナは、お客様と一緒に来店する わんちゃんたちの話し相手になっていた。 『マロンくん、ミルクちゃん、こんにちは』 『ラルナちゃん、こんにちは』 『パパがあたしのお部屋をつくってくれたの』 『よかったね、ラルナちゃん』 『あっ、この子たち初顔ね。 あたしは、ラルナよろしくね』 『ぼく、大吾朗です』 『あたし、ことです。 ラルナちゃん、よろしくね』 大吾朗とことは、ラルナと仲良くなった。 賢治は、お客様と一緒に来店する わんちゃんが楽しく遊べるように お店の一角に【ラルナのお部屋】という名前で わんちゃんのプレイルームをつくった。 このプレイルームがわんちゃん同伴の お客様から高評価をいただいていた。 今では【ラルナのお部屋】が、 わんちゃんの憩いの場となっていた。 「さて、今日のランチはハンバーグだ。 ただし、玉ねぎはワンズのNG食材だから、 マロンくんたちには付け合わせに出す ジャガイモとニンジンを出すよ」 静江がお客様のために料理をつくり、 賢治がお客様のためにコーヒーを淹れる。 賢治と静江の二人三脚でお店は繁盛していた。 お料理ができたところで武志たちに運ばれた。 マロンたちは、付け合わせに出している ジャガイモとニンジンが出されていた。 『美味しいね、ラルナちゃん』 『ママのお料理は最高よ』 『みんなで食べると美味しいね』 マロンたちは、温野菜にした ジャガイモとニンジンを食べていた。 奈緒美は、大吾朗とことの話を 武志と寛子に話していた。 「大吾朗は、女の子に優しい子なんです。 いつも散歩をする時は、 ことを1番に考えるんです」 実は、奈緒美が保健所に出向く前日に 先住犬であるあんこが夢枕に立って、 ことがあんこの生まれ変わりだと伝えていた。 「ことを初めてみた時、 あんこが生き返ったと思いました。 それで、ことを保護しました。 ことと一緒に大吾朗を 我が家に連れてきました。 あんこの匂いがしたのか大吾朗は、 ことを自分のそばに寄せていました」 「そうだったんですね。 ことちゃんが大吾朗くんの心を 開いたんですね」 「今思えばそう思います。 我が家に来た時の大吾朗は、 少しずつですがスープ入りのゴハンを 食べるようになりました」 「よかったですね」 「大吾朗とことを迎え入れてよかったです。 あんこが引き合わせた縁だと思っています」 先住犬であるあんこは奈緒美に 大吾朗とことを迎え入れてほしいと 夢枕に立ったのだ。 あんこは、大吾朗とことを迎え入れたことで 奈緒美に笑顔が戻ったのを 空の上から喜んでいるだろう。 これからの大吾朗とことの未来に 幸あることを願ってやまないと思った。
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