虹の天使大空くん【前編】

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虹の天使大空くん【前編】

5月に入り、ゴールデンウイークになった。 ある日、武志と寛子は 愛犬のマロンとミルクを連れて 従兄の俊彦の家に来ていた。 家の玄関で俊彦の愛犬ごん太ともんが シッポをふって出迎えていた。 『マロンくん、ミルクちゃん、こんにちは』 『ごん太くん、もんちゃん、こんにちは』 『今日はね、あたしたちのお友達が来るの。 マロンくんとミルクちゃんに紹介するわね』 『お友達が来るの?』 『仲良くなれるかな?』 マロンとミルクは、来客するわんこと 仲良くなれたらと楽しみにしていた。 「こんにちは」 「美香、いらっしゃい」 弥生は、武志と寛子に美香を紹介した。 美香は、弥生の親友であった。 「はじめまして、江崎美香です。 弥生とは中学からの親友なんです。 この子は、私の愛犬の大空(そら)です」 「はじめまして、私は松島武志です。 妻の寛子と愛犬のマロンとミルクです」 大空(そら)は、チワワの男の子だった。 大空(そら)を美香の家に迎え入れた時、 噛み癖と吠え癖があったという。 それどころかペットショップで与えられた ラム肉が原因で皮膚炎を起こしていた。 「大空(そら)を迎えに行ってから 先住犬の時にお世話になった 動物病院に診察をしました。 結果は、ラム肉のアレルギーでした」 「食べ物のアレルギーは怖いわよね。 人間でもわんこにもあるから怖いね」 「食べ物のアレルギーは、 アレルギー源を口に入れたら アナフィラキシーショックで 命を落とす危険がある」 「そうよね、何気なく口にしている物も わんこにはNG食材になるから怖いわね」 武志と寛子が美香と話していた時に 奥でお茶の準備をしていた弥生が、 お茶を持って部屋に入ってきた。 「大空(そら)くんは、 チーズを食べるかしら?」 「チーズは大好物なんです」 「よかったわ。大阪の叔母から マロンたちに送ってくれたの」 武志と寛子は、ごん太ともんに チーズとチュールを持参していた。 「武志さん、寛子さん、いつもありがとう。 ごん太ともんもチーズが大好きなのよ」 「喜んでもらえてよかったわ」 弥生は、武志たちのお茶を置くと マロンたちにわんこミルクと チーズを出していた。 『わ~い、おやつだ!』 『美味しそう』 マロンたちは、おやつをもらって ガツガツ食べていた。 『ぼく、チーズ大好きなんだ』 『ぼくらもチーズ大好きだよ』 『大空(そら)が元気になってよかった。 大空(そら)は、食べ物のアレルギーで 食べる物が限られているんだよ』 『ぼくの場合は、ペットショップにいた頃に 食べていたラム肉だったんだ』 『食べ物のアレルギーは怖いね。 ぼくらの友達にも食べ物のアレルギーで 食べてはいけない物があるって聞いた』 『ぼくが家に来た時に、 お医者さんの診察を受けたんだ。 その結果、ラム肉を食べて 体が痒くなったんだって教えてくれたんだ』 『大空(そら)は、噛みつく癖があったんだよね。 それで、あたしとごん太で 大空(そら)の噛みつく癖を治したの』 『そうそう、ぼくともんで 噛みつこうとする大空(そら)を躾けていたよ。 これは、ぼくらが大空(そら)の親となって 大空(そら)を躾けないとダメだと思ったよ』 噛み癖と吠え癖があった大空(そら)を ごん太ともんが大空(そら)の親代わりとなって 躾けを施したおかげで大空(そら)の噛み癖が 次第に治っていった。 その経緯を含めて大空(そら)の生い立ちを 美香が武志たちに話そうとしていた。 この続きは次回の講釈で…。【後編に続く】
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