美しき微笑みのあの人に恋をした。

3/66
前へ
/66ページ
次へ
だけど、言えるはずなんてない。 『あなたに一目惚れしました。』なんて。 (わっ!) 彼と目が合いそうになって、私は慌てて目を伏せた。 それからというもの… 私の心の中に、彼がすっかり棲み付いて… どんなに振り払おうと思っても、振り払えない。 元彼と別れたのは三年と少し前。 最初のうちは寂しかったり、焦ったりもしたけれど、そのうち彼氏のいない毎日にも慣れてしまって、最近では恋愛に気持ちがいかなくなっていた。 恋心なんて忘れたと思ってたのに、その恋の復活がまさか一目惚れなんて… 馬鹿みたいだってことはわかってる。 余程のことがない限り、もう会うこともない人を好きになったって仕方がない。 なんとか忘れようとしたけれど、そう思えば思う程、彼への気持ちが熱くなる。 私の気持ちはいつしか止められなくなって、あのコーヒーショップに行くのが休日の日課となった。 あの日は、水曜日だったから、水曜になると、私はいそいそとコーヒーショップに足を運んだ。 だけど、あの日以来、彼に会うことはなくて… 街を歩いてる時も、無意識に彼を探した。 けれど、どこにも彼の姿はみつけることが出来なかった。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加