162人が本棚に入れています
本棚に追加
苦笑しながら、碧の姿を鑑賞する。白い胸に散らされた紅い愛撫の痕が揺れていた。柔らかそうな薄茶の髪が首にかかって、細身が一層華奢に見える。中性的な顔と身体の持ち主である碧だが、これでどうして、性格的には男らしいところもあり、ときに強情ですらあるのも、好ましい。
ペットボトルを空にした碧が、チラッと時計に視線をやった。つられて見ると、もう五時近かった。とはいえ五月のことで、窓の外はまだ明るい。
「ライブの前に、何か召し上がります?」
「そうだな。軽く腹ごしらえ、しとくか」
最初のコメントを投稿しよう!