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 不惑も遠くない自分が、碧の肉体の瑞々しさに逆らえないことに苦笑する。ここに来るといつも、飢えているかのように碧を貪ってしまう。さっきまで、腕の中で快楽の海に沈んでいた碧の艶めかしさを思い出し、つい口元が緩んだ。愛撫の果てに、意識を手放しながら、亨流自身をキュウキュウと締め付けてきた、健気な碧。  亨流は小さなため息をついた。 (身体は、素直なんだがな――……)
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