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それなのに亨流は、碧を手に入れた、と感じたことがない。何度抱いても、心はどこか遠い処にあるような気がしてならなかった。 (お前、誰を想って俺に抱かれてる……?) 幾度も胸に湧き上がってきた、その問い。一度も口にしたことはない。なにしろ年に数回しか顔を合わせない仲なのだ。快感を分け合えれば、それで十分ではないか。身体の相性は最高なのだから、短い逢瀬を楽しめばいい。
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