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それに、碧が情事に慣れているのは、初めて抱いたときから気付いていた。少し意外にも思ったが、これ程美しく魅力的な青年に過去が一つもない筈がないし、過ぎ去った日々に拘るのは亨流の流儀ではない。
(そう、今を楽しまなきゃな)
ベッドから出て、バスルームの戸を開けた。驚いた顔で、碧が振り向く。そのしなやかな身体に、手を伸ばした。窓から差し込む午後の日差しがモザイクタイルの上に落ち、水滴と湯気の中でキラキラとダンスを踊っている。
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