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(なんで、お前が相手だと、こんなに我を忘れちまうのかな……)  八木亨流(やぎとおる)は、隣で静かな寝息を立てる中津碧(なかつみどり)の長い睫毛を鑑賞しながら、取り留めもなく思考を巡らせていた。  碧との情事は、単にセックスの快楽というレベルではなく、一度死んで生まれ変わるような壮絶な感覚をもたらす。
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