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 言ってしまえば、身体の相性が良いというだけのことなのだろうが、そんな言葉で片付けたくない気分が、亨流にはあった。 (……この、顔のせいかな)   子どもの頃から美少年の誉れ高かった碧は、二十五になった今でも、浮世離れした美貌の持ち主だ。つい、天女だとか天使だとか、人ならぬ存在を連想してしまう。その禁欲的で清潔な白い肌が、愛撫に紅潮し蕩けていく様を見ていると、この手で天使を堕落させているようで、ゾクゾクするような背徳感を覚えずにはいられない。 (あとはやっぱり、この場所のせい――か?)
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