その先のハッピーエンド

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「まあ、そんなところかな。八百万の神様がみんなで住んでいる場所ってかんじ。ここから日本のみんなを見守ってるんだよ。あ、俺の名前、タケミカヅチで長いから……タケさん、とかでいいよ。結構みんなお互いの名前は略して呼んじゃうから」  タケミカヅチ――タケさんはニコニコ笑いながら説明してくれた。  此処が、日本の神様やアヤカシが集まっている場所であること。そして日本に生きる人々の様子を見て、時々少しだけ干渉して世界をよりよくしていこうとしているということ。  ちなみに外国には外国の神様がいる。北欧神話の神様とか、中国の神様(仙人とかも神様に該当するらしい)とか、キリスト様だとか。そういう神様たちとはお隣の別の世界に住んでいて、それぞれの国を観察したり管理したりするのだそうだ。どれくらい自分達の世界に干渉するかは神様によって違うが、正直日本の神様たちはあまり現世に干渉したがらないのが普通であるらしい。 「まあ、人間の数も多いしね。多くの宗教では神様は一人だけ、あとは邪教みたいに教えちゃってるみたいだけど……実際はたくさん神様がいて分業してるんだよ。でないと管理とか無理だろ、神様がブラック労働で倒れてしまう」 「……ふふっ、それは、確かに」  あっちにこっちに呼ばれまくるマリア様とかを想像して、なんだかおかしくなってしまった。私は思わず吹き出してしまう。  するとタケさんは、あ!と嬉しそうに声を上げたのだった。 「やっと笑ってくれた!うん、君は笑っていた方がいいよ、ナミコさん。その方がずっと魅力的だ」  きっとお世辞のつもりもないのだろう。なんとなくそれがわかってしまい、私は既に死んでいるはずの頬に血が通うのを感じていた。  誰かにそんな風に褒められたのは、何十年ぶりなのだろうか。いや、生きている間でさえ、殆どなかったような気がする。  長年、怨霊として恐れられた自分が辿りついたのは、怨霊ごときの力ではけして殺せないような相手ばかりが集まった神様の世界。これもまた、何かの運命というものなのだろうか。
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