第10話 調査と出会い

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第10話 調査と出会い

 後日、竜也達は改めて警察署に行き報酬と感謝状を貰った。  「高速先輩、保護観察処分に奉仕活動の刑か」  「あの先輩、結構活躍してたみたいだしね」  ハイウェイダーはヒーロー裁判所において、自身の功績と弁護士の尽力で大幅な減刑を受けた。  学校は休学となりモヒカンから丸坊主になり、交通安全教室で働いている。  今度は道を誤らず、ヒーローとして蘇るだろう。  「止めてくれてありがとうな、後輩共♪」  「お勤め頑張って下さい、先輩」  「私達に迷惑かけないでよね!」  「す、すまねえ! だが、マモーンって奴に気を付けろそいつが元凶だ!」  裁判所に移送前のハイウェイダーと交わした言葉、竜也達は暫くはDS事件に関わらざるを得ない予感がした。  「たっちゃん、ここで調べ物?」  「ああ、マモーンってワードが気になったから」  あれから数日後、竜也とジークリンデは放課後を利用して幻想科の地下にある魔法図書館に来ていた。  広大な空間に無数の書架が並び検索スペースもある不思議な図書館だ。  「お父さんが組織でDS怪人の案件、いくつか受けてるから?」  「ああ、なので俺らもそのお手伝いしろって言われただろ?」  「お父さん、会長になってから辛そうなのが面倒臭い」  「まあ、大事にしようよ庇護してくれてれるんだから」  そんなやり取りをしつつ竜騎士達も関わっている案件なので、ユースである竜也達も組織の正式な仕事として動いていた。  「見つけた、マモーンとは強欲の魔王を信奉する悪魔崇拝系組織である」  世界の悪の組織図鑑と言う本を読む竜也。  「あれ? でもこの組織、竜騎士に壊滅したって書いてあるけど?」  「恐らく後継組織なんじゃね、正統でも自称でも?」  資料を書架へ戻して、竜也達は図書館を出た。  「後は、ネット検索と足で捜査かな?」  「DSを売ってる売人とかの線からも追って見ない?」  「リンちゃん、やる気だね?」  「まあね、たっちゃんがやる気なら私も頑張らないと」  「ありがとう、頼りにしてるぜ」  帰り道、二人でワイワイ言いながら歩く竜也達。  二人はそれぞれの家に帰り、課題などのついでにネットで調べる。    結果として判明したのは、DS怪人はマモーンの使者と言う代理人から DSを購入していた事が判明。  だが、使者と言う代理人は性別も年齢もどれもバラバラらしい。  「面倒だな、でも商売なら素材調達があるはず? 次は資料庫へ行くか」  DSの姿から、どこの世界の生物かを調べて元を絶ちに行こうと竜也は考えた。  翌日の放課後、竜也達は礼装姿で国際竜騎士連盟の日本支部を訪れていた。  「日本支部って、博物館も兼ねてるの?」  外観は洋風で博物館と言う印象だったが、本当に中が博物館になっていたとは 思っていなかった竜也。  「竜騎士ミュージアムの名前も、看板に書いてたじゃない♪」  竜也と同じく女子の礼装姿のジークリンデが笑いながら彼に抱き着く。  「カフェや物販コーナーもあるのか、驚いた」  竜也が驚く中、受付のお姉さんが声をかけて来た。  「いらっしゃいませ、本日の竜騎士様へのおすすめの依頼はミュージアムカフェのホールスタッフです♪」  ジークリンデと同じ、白のブレザーを着た温和そうな受付嬢が微笑む。  「あの、俺達は今回は資料室の閲覧を希望です」  竜也が受付嬢に用件を伝える。  「カフェは帰りにお客で利用するわ♪」  ジークリンデが竜也の腕に抱き着きながら言う。  「お勉強ですか♪ では、資料室はミュージアム内ですので竜騎士様達は関係者割引きで五百円になります♪」  入館料を支払いミュージアム内へ入る二人。  「同じ組織の人間からお金っとるなんて、ひどい!」  「まあ、割引されてるなら良いんじゃね?」  資料室を目指してミュージアム内を進む二人。  「次は仕事抜きでデートで来ましょ♪」  「うん、普通にデートスポットになるよねここ」  展示品やパネルなどを見つつ進んで行く。  レプリカだが歴代や各地の竜騎士の鎧は壮観だった。  「平安日本の竜騎士展って、マジ?」  偶然目に入った看板に竜也が驚く。  「俵藤太こと藤原秀郷や源頼光、坂田金時が平安日本の竜騎士よ♪」  ジークリンデ曰く、源平藤橘の一部は竜騎士だったらしい。  「う、事件を調べに来て事件より面白そうな話があるとは」  「はいはい、お仕事優先♪」  ジークリンデにてを引かれて、竜也は資料室へと連れて行かれた。  「ここが目的の場所、ここならあるはず」  「何を探してるの?」  小さい図書室と言った感じの部屋だった。  竜也はパソコンで検索をして目的の資料を見つける。  「あった、マモーンを壊滅させた竜騎士ジョージの記録だ♪」  「この、ウィッシュキャタピラーってのがDSの素材って事?」  「ああ、この虫を敵は捕まえて変質させてると俺は見てる」  「じゃあ、これがいる世界を学校の魔法図書館で探して殴り込みね♪」  「ああ、一応上に報告してからね」  「ぶ~! 結果出せばいいじゃない!」  「駄目だよ、戦いは準備してから」  「たっちゃん、そういう所ゲーマーよだね?」  「まあね、カフェで何か食べて帰ろ」  「任せて、お勧めはドラゴンパフェよ♪」  調べ物を終えた竜也とジークリンデは、資料室を後にしてカフェに移動した。  「これが、ドラゴンパフェ?」  「イチゴムースとプリンの、レッドドラゴンパフェ♪」  「ドラゴンの頭は、飴?」  「うん、バリバリ噛んでね♪」  イチゴムースとプリンでレッドドラゴンの背と腹を作り、パフェの真上には赤い飴で竜頭が載せられていた。  「他にもグリーンやブルーにブラックってあるんだ?」  「お、コンプリート目指す?」  「止めとく、食いすぎになるから」  竜也がコーラだけにしておくと、別の席で驚くべき注文があった。  「ドラゴンパフェ、全色お願いします♪ きっちり、完食しますから♪」  それはお淑やかだがはっきりと強い意志で語る美少女の声。  「え? あの制服はサリエル魔法女学院!」  「みたいだね、山奥からご苦労な事で」  ジークリンデが驚いた理由、市のはずれの山奥になる全寮制のお嬢様学校の生徒が 縁もない場所にいたのだ。  「は~~~♪ この、甘味♪ 山奥では手に入らない味ですわ♪」  パフェの甘さに感動している黒いワンピース学生服の少女。  その姿は武士の様な黒のポニーテールに白い肌の美少女であった。  「あれはヤバい顔してるは、無視しましょ」  「だな、他校生と関わりたくない」  竜也達が目をそらすも、美少女の方は彼らを見逃さなかった。  「そこの方達、もしや私を食いしん坊だと思ってませんか?」  「いや、思ってないです」  「私達、デート中なんだけど?」  「デ、デート! 何という羨ましい!」  「あの、他所のヒーローの基地で騒がないで貰えます?」  竜也が美少女に注意する。  「ああ、失礼いたしました♪ 私は、サリエル魔法女学院の安藤メイと申します」  竜也達が聞いてもいないのにメイは名乗りを上げた。  「あ、そう? 私はジークリンデ、こっちは私のダーリン♪」  「岸野竜也です、それよりそっちの注文が来ましたよ?」  「え? おお、これは良い色♪」  メイは自分の席に戻り、パフェを食い出した。  後に竜也達は、この安藤メイと思わぬところで再会する事となる。  「たっちゃん? あの子の事が気になるの?」  ジークリンデが竜也を睨む。  「いや、特には?」  「じゃ、パフェの食べさせ合いっこを所望します♪」  「お、おう! 人生で初のイベントが来たな!」  「はい、あ~ん♪」  「あ~ん♪」  ジークリンデに食べさせてもらう竜也。  「じゃあお返し、あ~ん♪」  「あ~~~~ん♪ これこそ、幸せの味~~♪」  周囲にハートをまき散らし、安藤メイにもダメージを与えるイチャラブっぷりを発揮した竜也達であった。    次の日の放課後、竜也達は日本支部へと呼び出された。  案内された館長室へ入ると、執務机に座る紅茶色ベストを着た金髪の美青年 とクラウス会長が待ち構えていた。  「初めまして、僕はアーサー♪ ここの館長をしている竜騎士だ♪」  紅茶色ベストのアーサーが微笑んで自己紹介をする。  「アーサー、彼らが我が娘夫婦だ」  来客用のソファに座っていたクラウスが、竜也達を紹介する。  「竜也君のレポートは、日本支部長のアーサーと読ませてもらった」  クラウスが告げる。  「学生のレポートとしては合格点だ、DSはこちらも君達の予想通りWCの変異体と見ている」  アーサーが語る。  「こちらの情報は、他のヒーロー達にも提供しているのでDSに関しては君達の仕事は終わりだ」  クラウスが微笑む。  「了解しました、それで俺達はこの後は自由って事でしょか?」  「私達もマモーンと戦いたかったです」  竜也とジークリンデが自分の意見を述べる。  「すまない、だが大人にも活躍させて欲しい♪」  クラウスが微笑み、ジークリンデがむくれる。  「まあ、レポート分の報酬は出すよ♪ それと自由で良いんだが君達、大会に出て見ないか?」  アーサーが竜也達に一枚のパンフレットを差し出す。  「え~っと、竜騎士槍試合大会(りゅきしやりじあいたいかい)ですか?」  「面白そう、夫婦の共同作業ね♪」  ジークリンデが興味を示す。  「その通り、U18の竜騎士達で行われる夏の祭典だ♪ 君達が、日本支部代表で出ないか?」  アーサーが竜也の肩に手を置いた。  「俺は出てみたいですが、会長としてはどうなんでしょうか?」  竜也がクラウスに尋ねる。  「私としては、君達は温存しておきたいのだが頑張ってきて欲しい」  「わかりました、では俺達の次の仕事は槍試合大会ですね」  「私がたっちゃんを、決勝戦まで連れて行くわ♪」  「いや、そういうのは普通俺が言う台詞じゃ?」  会長の許可が出たので、竜也達は新たに槍試合へと挑む事となった。  この大会に出てから、竜也達は他の竜騎士達と本格的に知り合うようになって行く事になる。  「では、二人は大会までは日本支部で預からせていただきます」  「ああ、任せたよアーサー」  クラウスとアーサーが握手を交わす。  「くれぐれも頼むよ、二人共私の可愛い家族なんだ」  「いや、他の人の前で恥ずかしい台詞を吐かないでよ!」  ジークリンデは恥ずかしがった。  「何と言うか、大丈夫か日本支部って?」  不安を感じつつも、竜也は新たな展開に挑もうと気合いを入れた。  
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