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第31話 夜明けの竜騎士王
「あれが敵の本丸か、まず俺達が突っ込むぜ!」
イフリマンダ―に変身し、氷の城に向かい突撃すると彼が城に当たる寸前に
大爆発が起こりイフリマンダ―が弾き飛ばされた。
「ぶはっ! こっちの力を反射した上に水蒸気爆発かよ」
自分の炎なら行けると思っていたが弾かれて変身が解けた烈太。
「大丈夫か、烈太!」
「ちょっと、けがとかしてない?」
竜也達も下りて来て駆け寄る。
「ああ、大丈夫だけど面倒くせえ」
烈太が答えると、ランプからイブリンが出て来て彼を抱きしめる。
「旦那様、少し一休みいたしましょう」
イブリンが烈太を休ませようとする、だがそうはいかなかった。
「現れたな地球のヒーロー共、城へは行かせんぞ!」
城壁の上に現れた雪だるまが叫びを上げてジャンプし、その姿を青い氷の鎧を纏った騎士へと姿を変えて着地した。
「我が名はアイスナイト! 王国の大臣にして、プリンセス・フロストン様の騎士なり!」
アイスナイトが剣を抜き、名乗りを上げる。
「そうかよ、なら地球の炎のヒーローを代表して俺が相手になってやる」
烈太が立ち上がり再び、イブリン達と一体化してイフリマンダ―に変身する。
「二人は城へ行け、こいつは俺が抑えて倒す!」
「わかった、頼むぜ親友!」
「任せたからね!」
竜也とジークリンデが変身して城へと走り出す。
「何? そうはさせっ!」
アイスナイトが竜也達に目を向けた所で、イフリマンダ―の燃える拳がアイスナイトのボディを抉った!
「余所見すんなよ氷野郎!」
イフリマンダ―の頭の炎が燃え上がる。
「おのれ、この蠟燭頭が!」
アイスナイトの冷気を纏った剣が反撃をしてくる、イフリマンダ―も右手からバーナーの如く炎を噴き出して炎の剣を作って迎え撃てば炎と冷気がぶつかり合い爆発が起こる。
「へ! うんじゃあ城から離れてもらおうか!」
アイスナイトと爆発が起こる剣戟を行いながら、友の為に敵を城から遠ざけるイフリマンダ―。
その助けを得たフリーデンとジークリンデは、城門を蹴破り氷の城へと突入する。
城内にいた雪だるまが、アイスオーガになり襲い来るも蹴散らして進む二人。
光すら跳ね返す氷の扉を闇で貫き、玉座の間に乗り込んだ二人を冷気が襲う。
「私の城から消えろ、ヒーロー!」
玉座に座ったまま、両眼を光らせ吹雪を起こすプリンセス・フロストン。
「私達は消えない、あんたを叩きのめして地球を守る!」
「俺達がお前達を止める!」
ジークリンデとフリーデンが同時に掌から放った闇のブレスが、吹雪を飲み込むように消してプリンセスへと襲い掛かる。
だが、二人のブレスはプリンセスが張った氷のバリヤーを破っただけに留まった。
「そうやって、あんた達は私達の邪魔をする! いい加減にして!」
プリンセスの氷のドレスが重厚で刺々しい青い甲冑へと姿を変える。
「そっくりそのまま返してやる、地球をお前らの冬で蹂躙なんかさせるか!」
「冬は暖かく過ごす物なんだからね!」
フリーデンとジークリンデが言い返す、だがプリンセスにとって暖かさと言う言葉は地雷だった。
「私は暖かさなんて、いらない! 温もりなんていらない!」
プリンセスが絶叫を上げると、フリーデン達は猛烈な吹雪に飛ばされて
城からはじき出された。
「おお! 遂に、プリンセスとフロストン城が立ち上がるか♪」
「嘘だろ、城が変形し始めただ!」
アイスナイトと交戦中のイフリマンダ―が驚く、アイスナイトはイフリマンダ―を無視して城へと飛んで行った。
それと入れ替わりに、イフリマンダ―の所へとフリーデン達が落ちてくる。
「すまん、弾き出された」
「何があったか知らねえが、こっちも巨大戦か?」
フリーデンとイフリマンダ―が軽くやり取りを終える。
フロストン城が唸りを上げながら宙に浮きあがると、城が徐々に動き出し巨大な
人型の存在へと変形した。
それは、城壁をスカートに、城の本丸を鎧として着て王冠を被った百メートルほどの巨大な氷の美少女象であった。
美少女象の鎧となった城の玉座の間で、アイスナイトは主に跪いていた。
「戴冠おめでとうございます、新たなクィーン・フロストン様♪」
アイスナイトの声は喜びに満ち溢れていた。
氷の甲冑を纏って、玉座の間に座りコアとなったクィーンは語らない。
彼女の意識は氷の美少女象に移っていた、アイスナイトはドロドロと己の体を溶かして白と一体化した。
「まずいな、正面組の所に向かってやがる」
イフリマンダ―が空を飛びクィーン・フロストンを追いかける。
「俺達も追いかけよう」
「うん、わかった!」
ジークフリーデンとなり、空を飛んでクィーン・フロストンを追う竜也達。
クィーン・フロストンの存在は、正面組の方も確認した。
フロストジャイアントとフロストウルフの生き残りは、クィーン・フロストンへと向かって行きその身を彼女に捧げて一体化した。
クィーン・フロストンの姿は、スカート部分の城壁の下に氷山の布を追加したようなまさに極寒の女王と呼ぶべき脅威となった。
「止めなきゃ不味いよね、あれは」
ヘリオスマンホープが必殺のコスモハープーンピッカーを構える。
「無論だ、妖精機の方々は退いてくれ!」
ハクギュウジンが叫び、ぶちかましの体勢に入る。
「道を切り開くぜ、ウェ~~イッ!」
ハイウェイダージャンボが、エンジン全開で光の塊となって突進した。
だが、その一撃はクィーン・フロストンを砕く事が出来ず、逆に彼女の氷に捕らわれてしまった。
「先輩! バーニング・トルネード!」
ハイウェイダーを取り返そうと、ヘリオスマンホープも炎の竜巻と化して突っ込むがその熱は消され彼もまた氷に取り込まれる。
ハクギュウジンもまた自慢の突撃を止めらて捕らわれてしまった。
「私なら、行けるやも!」
エリザベスは自らの機体に冷気を纏い飛び込んで行く、これは半分正解だった。
「く! 潜り込むことは成功しましたけど、中々思うように動けませんわ!」
エリザべスの機体だけは自由意志を持って、クィーン・フロストンの氷の中を動けるがその動きはとても遅くなっていた。
「敵の魔力とこれはサイコキネシスの類? どちらにせよ、押し合いをしながらでは皆様を助けられませんわ」
敵から魔力以外の圧を感じ超能力だと理解したエリザベス、しかしそれを跳ねのけるのは彼女には難しかった。
「畜生、先輩達を離しやがれ~~っ!」
イフリマンダ―が捕らわれた仲間達を見て怒りを燃やす、その怒りは太陽の如く燃え上がり巨大な火の球となってクィーン・フロストンへと叩きつけられた。
この渾身の一撃には、クィーン・フロストンの纏う氷のスカートも砕け彼女は倒れ込み捕らわれた仲間達が解放される。
「おっと、夢田も牛田さんも元に戻ってるな」
「先輩のロボは燃料切れしてる」
「これは避難させるべきである!」
氷から解放された仲間をキャッチしたジークフリーデン。
「ランプに入れて運んであげて!」
ジークリンデがイフリマンダ―に向けて叫ぶ、それを理解したイフリマンダーは巨大な黄金のオイルランプに変形し元に戻った夢田と牛田に加えハイウェイダージャンボも纏めてランプに吸い込むと妖精女王の城へと飛んで行った。
エリザベスも機体に乗ったまま、ランプを追って城へと飛んで行く。
仲間達の安全はひとまず確保した。
だが、安堵したのもつかの間でクィーン・フロストンが再び自信を修復して立ち上がる。
「さて、ここからは俺達で相手だ」
「お城へは行かせないよ!」
「いざ、一騎討ちの時!」
ジークフリーデンの中で竜也とジークリンデそして黒月の三人が心を一つにする。
すると、彼らの目の前に黄金に輝く竜騎士が姿を現した。
「な、この霊体は神霊か?」
黒月が驚く、目の前の竜騎士の霊体のそれは神に近い感じがしたからだ。
「えっと、ご先祖さま?」
ジークリンデは霊体を見て祖先の英霊ではと感じ取る。
「いかにも、我が末裔の娘よ」
竜騎士の霊が語り出す。
「あ、あの時の夢に出た人か?」
竜也は自分に会いに来たジークフリードだと気付く。
「手短に語る、汝らが立ち向かう相手は世界の危機である」
例の言葉に竜也達は頷く。
「本来ならば、資格ある者とは言え五名以上の当代の竜騎士王の承認が必要であるが我らファフナー家の歴代竜騎士王達が今回のみ認め力を与える! 汝、竜騎士王となりて彼の脅威を鎮めよ!」
英霊の言葉に竜也が頷くと、英霊は光の奔流となって溢れ出した。
気が付くと、竜也は自分が纏うフリーデンの鎧の頭部と手足だけが金色に変わり
全身が金色のドラゴンとなったジークリンデに乗って空を飛んでいた。
敵であるクィーン・フロストンは、フリーデン達から発せられる黄金の輝きに動きを止めていた。
「どんなに夜が暗くても必ず輝く朝は来る、俺は闇と光を司る夜明けの竜騎士王
フリーデンモルゲン!」
左手には黒月が姿を変えた満月が描かれた黒い丸盾を持ち、右手には金色に輝く愛刀ファングシュベルトを持ったフリーデンモルゲンが名乗りを上げる。
ドラゴンと化したジークリンデが、夫であるフリーデンモルゲンの威光に平伏せとばかりに雄叫びを上げる。
だが、クィーン・フロストンも負けじと氷で巨大な剣を作り振り上げた。
こちらも闘志は消えず、竜騎士王と極寒の女王の王同士の対決が幕を開ける。
「ねえ、あいつどうするの?」
テレパシーでジークリンデが尋ねてくる。
「正直、まずはカチ割って倒すしかないかな? 向こうは総力戦だし」
「そうだね、こっちも負けるわけにはいかないよね」
「とにかく、全力でぶつかろう!」
「オッケ~♪ 行くよ~~~っ!」
ジークリンデがテレパシーでの会話を打ち切り雄叫びを上げて突進する。
当然、クィーン・フロストンも大剣を振り下ろして来るがフリーデンモルゲンは
刀と盾でその攻撃を受け止めてから押し返す!
ジークリンデが口を開けて金色のドラゴンブレスを放射する!
その衝撃は、クィーン・フロストンを突き飛ばし尻餅をつかせた。
力比べは、相手に引けを取らないことを実感した竜騎士王組。
ここからがラストバトルの始まりだ。
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