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私は悲しいことがあると、いつも海辺に来る
遠くの地平線をただただボーッと見つめるだけ
何も考えない…抜け殻になる
「お姉ちゃん!何しゆーが?」
一気に現実に引き戻された
目の前に立っているのは小学校に入学したばかりくらいで目がクリっとした小さな男の子
「別に…」
「これ、舐めるかえ?」
差し出された箱には金平糖が入っていた
「えいが?」
「うん。えいよ」
一つ摘んで食べると金平糖の甘さが口の中に広がる
「美味しいろ?」
「うん。美味しい。何歳?」
「6歳。お姉ちゃんは?」
「18」
「ここで何しちょったが?」
「海見よったがよ。名前は?」
「陽(はる)。お姉ちゃんは?」
「一花(いちか)」
「はるぅ〜」と遠くで呼ぶ声がした
「一花、俺が大きくなったら彼氏になっちゃる」
「へ?」
「絶対会いに行くき!それまでコレ持っちょけ!」
そう言って金平糖が入っている箱を差し出してきた。可愛いな〜と思い受け取ると
「じゃな」
陽は呼ばれた方へと元気に走って行った
金平糖を制服のスカートのポケットに入れ立ち上がり海にサヨナラした
この日両親が離婚、私は東京の大学への進学が決まっていたので母親に別れを告げ1人東京に向かった
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