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あれから20年、就職してキャリアに目覚めた私はキャリアを追い続け、気づけばお局になっていた
それでも「かっこいいお局」として新人研修で講師をしたり充実した毎日を送っていた
でも本音は、本当の私を受け入れてくれて大切にしてくれる男性と結ばれたい…私は38歳にして未だ男を知らないのだ
この年齢まで来てしまうと告白されてもホイホイと付き合えない。だって処女だとバレれば引かれるに決まってる。そう思いながら38。今日の誕生日で39
「ハァ〜。また歳を重ねてしまう」
この世の中に39歳の処女がいるのだろうか?こうなったら男を買う?プロなら相手が39歳処女でも何も言わないよね?
意を決して、スマホで今流行りの「女性向け風俗」で検索すると、当日予約ができる人がいたので申込みした
すぐにメッセージが届き、希望するコース、ホテル、年齢や未経験であることを書いて返信。「予約完了」のメッセージが届いた
ソワソワしながら仕事をし、定時退社でダッシュで待ち合わせのホテルに向かい15分前に到着
何をして良いのか?わからなかったので、ひとまず化粧を直して水を飲みテレビを観ていた。が、全く内容が入って来ない
ピンポーン
とうとう来た!
ドアを開けるとスラっとした長身で目がクリっとした男性が笑顔で挨拶してくれた
「こんばんは」
「あ…こんばんは。どうぞ」
「ありがとうございます」
ベッドに腰かけ自己紹介と事前説明を受けた
「一花様。この度はご指名いただきありがとうございます。HARUと申します。今日はおまかせ恋人コースでよろしいですか?」
「はい。あの…私…その…男の人との経験が…大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。怖いと思ったり嫌だと思ったら遠慮なく言ってくださいね」
優しい眼差しで私を見つめてくれる
相手はプロなんだからお任せしようと自分に言い聞かせた
「あの…?」
「はい?」
「本当にエッチはしないですか?」
「本当はダメですが、一花さんが望むなら」
「わかりました」
「一緒にお風呂に入りませんか?」
「え?」
「恋人同士だし。嫌?」
「恥ずかしい…」
「電気消したら大丈夫?」
「それなら…」
「じゃ〜お湯ためてくるね」
「うん」
HARUさんは浴室に行き直ぐに戻ってきた
「一花?」
急に呼び捨てされてドキッとした
「緊張してるでしょ?」
「うん」
「俺も」
「ホント?」
「うん。ほらっね?」
HARUさんは私の手を自分の左胸に持って行った
「ドクドク言ってる」
「音も聞いてみる?」
「…うん」
私は彼の胸に耳を当て鼓動を聞いた
「あ!」
私が急に声を出して立ち上がったので彼はビックリした表情で私を見つめる
「お金…前払いなのに」
「あ…そうだった(笑)」
カバンから財布を取り出した拍子にカバンがテーブルから落ちて中身がひっくり返ってしまった
「あ…ごめんなさい」
「これ何?」
「それは金平糖の箱」
「金平糖が好きなの?」
「ううん。お守り」
「お守り?」
「うん」
「どんなお守りなの?」
私と陽との思い出に入ってきて欲しくないと思った
「秘密」
「そか…」
お金を払ったタイミングで湯はり完了の音楽が鳴ったので先にお風呂に入り、後からHARUさんが入ってきた
湯船に浸かって待っているとシャワーを浴びている音がして、音が止まったと同時に湯船が波打った
後ろから優しく引き寄せられて、ガッチリ前をガードしている腕ごと抱きしめられた
「一花のうなじ綺麗だね」
「…んっ…く」
うなじにキスをされて背中、肩へと移動していく唇がくすぐったい。私の脇からスルスルっと手が入って来て胸を優しく手のひらの中へ
「柔らかくて気持ちいい」
「んぐっ…あはっ」
体をどうして良いのか?わからない。声は?頭の中が真っ白でパニクってる。乳首を摘まれてビクンと跳ねた
「…はぁはぁ」
ダメだ。体が熱い…
気づいたらベッドの上
「気がついた?ごめん。のぼせさせちゃった」
恥かしい。のぼせてしまうなんて
「あ…時間」
「大丈夫。お店に事情話してあるから」
「ごめんなさい」
「俺の方が悪いよ。ごめんね」
「ううん。HARUさんは悪くない」
「ねぇ?HARUって呼んで」
「・・・」
「もしかして金平糖の彼の名前?」
「へ?」
「一花。何しゆーが?」
「へ?へ?」
「陽だよ。気づけよ」
「え?何で?どうして?」
「それは俺のセリフ。あの後ずっと一花のこと待ってたのに」
信じられなかった。
「夢?」
彼は私の上に覆い被さってきた
「夢かどうか確かめよ」
夢なら覚めないで
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