結婚式と初めての改革?

5/11
前へ
/341ページ
次へ
セルゲイ侯爵の手からラシードの手に交代したリーゼロッテは、幸せそうにラシードに微笑みかける。 ラシードも嬉しそうに微笑み、ベールを取り去るようにして上げると、そのまま唇を重ねた。 「!!」 リーゼロッテは驚いて硬直してしまう。 式の流れでキスはあるが、最後の方で、軽く触れ合うだけの形式的なものだったはずなので、リーゼロッテもそのつもりで、心構えをしていた。 驚いたのは、リーゼロッテだけではない。 セルゲイ侯爵とベルーナ夫人、ステラ、ラシードの継母にあたる太后、キーシャとラファイエット夫妻も…いや、その場にいたラシードを除く全員が驚いた。 唇をゆっくりと離したラシードの唇には、リーゼロッテの口紅が付いてしまったが、イタズラっぽく笑うだけで、一度も拭う素振りを見せなかった。 リーゼロッテは恥ずかしさで式進行も頭からすっぽ抜けてしまい、取りあえず頷いたり、相槌を打ったり、返事をするだけで、式は終わっていた。 終わったことと、窮屈なドレスというか婚礼衣装を脱いだことで、やっと一息つけたリーゼロッテの入浴やメイク落としをステラがやってくれた。 「それにしても、ラシード様は大胆な方なんですねぇ、びっくりしました」
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

660人が本棚に入れています
本棚に追加