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「おはようリーゼ。朝食は口に合っているだろうか?」
「おはようございます陛下。どれも美味しく頂いております」
「リーゼ…」
二人きりなら、いつもの呼び方でいいのかもしれないが、ここには太后もいる為、リーゼロッテは公式で使うような言葉で返事をした。
堅苦しくても、礼を欠いた言葉遣いをして良くない印象を持たれるのは嫌なので、ちょっとしたことでも気を付けているのだ。
ここは愛するラシードの家であっても、リーゼロッテにはアウェイなので、ある程度は配慮しなければならない。
ラシードの継母と言っても、リーゼロッテにとっては姑であることに変わりはないのだから。
「皇妃は礼儀を弁えていて結構なことだわ」
「恐れ入ります…」
緊張のあまり、メイン料理のチキンソテーの味がよく分からない。
柔らかいことだけしか分からない。
嫁ぐということは、並大抵なことではないと思ったリーゼロッテは、母であるベルーナ夫人がどれだけの努力をして、両家の良好な関係を維持し、自分を両家の両親に愛されるようにしてきたかを考えて、改めて自分よりも遥かに凄い人物だと知る。
世の姑とは、自分の可愛がっていた息子を見知らぬ女性に取られるような気がして面白くないのだろうとも思う。
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