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リーゼロッテの通っている学校は男女共学ではあったが、『男子は国と法を守る誠実な男であれ。女子は良き妻良き母、良妻賢母であれ』という徹底した男女別学科を設けていて、平民からは前時代的と言われていたが、貴族や王族からのウケはよかった。
そんな学校なので、パーティーもきちんとドレスコードが決まっていて、男子も女子も華やかな装いで、シンデレラの舞踏会を彷彿とさせるくらい、本格的なパーティーだ。
この日の為だけにドレスや燕尾服、タキシードを新調するのも慣例だ。
リーゼロッテもやや濃い目だが、下品にならないようなバイオレットカラーのドレスで、首からデコルテと袖は手首までふんだんにレースを使い、肌の露出を抑えている。
レースはライラックカラーで、リーゼロッテの美しさと上品さを引き立てる。
イヤリングはアメジストでシンプルながらも、付ける人を選ぶものだった。
この一式を身に纏う姿は、たとえ聖女アンジェであっても、リーゼロッテには敵わないだろう。
ドレスを着こなすには、外見と内面の調和も必要だったりするのだ。
リーゼロッテはエスコートなしでパーティーに出るのかと思い悩んでいると、後ろから肩を叩かれた。
「ずいぶん悩んでいるようだねレディ。可愛いリーゼが悩んでいるのは恋の悩みかな?」
「叔父様!」
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