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リーゼロッテに声をかけたのは、リーゼロッテの叔父のバスティアン・クロイツ・ヴァンドール伯爵である。
父であるセルゲイ侯爵のすぐ下の弟で、色気のある容姿にレディファーストを徹底し、ちょっとしたジョークもあって、彼と結婚したいと望む者も多かったが、独身のワンナイトラブを楽しみたいと、縁談や告白は全て断っており、枕を濡らす女性は星の数。
もちろん仕事は真面目にこなしていて、人脈も豊富なことから、国王からの覚えもいいという人物だった。
リーゼロッテは彼から、実の娘のように可愛がられていて、幼い頃は「叔父様と結婚するの!」と言って回るくらい懐いていた。
「叔父様はどうして学校に?教職に就かれていましたっけ?」
「ははは、私が教師になったら、勉強よりも恋愛に比重が置かれてしまうね。私が教師でも勉強に身が入るのはリーゼだけだろうね。今日は明日の卒業パーティーの打ち合わせできたんだよ」
「叔父様もパーティーに参加されるのですか?」
「まぁ、顔が広いし、貴族だからね。パーティーで人脈を更に広げようとも思っていたしね」
「嬉しい!パーティーでは是非私と踊ってくださいませね」
「はは、そんなに可愛いおねだりをされたら、聞かないワケにはいかないね」
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