無価値な人生

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 早く中学生になりたい。  小学校に入ってすぐ、僕はそう思うようになった。  先生に怒られてばかりの小学校生活を早く終えたい。朝早い登校、厳しいルール、一緒にいてつまらない友達が僕の周りにまとわりついてくる生活を早く終えたい。  何より、体育着がダサい。なんだこの、ど真ん中に大きく名前が書いてあるやつ。恥ずかしいだろ。しかも材質がなんか気持ち悪くて暑苦しい。この体育着を、早く脱ぎ捨てたい。  六年後、ついに願いが叶う時がくる。  僕は、小学校を卒業した。  同時にスマートフォンを買った。  小学校を卒業してから中学校に入学するまでの間に、僕はスマートフォンにはまってしまった。  踊ったり遊んだりしている動画を投稿するアプリ、『チックトック』にはまってしまった。  チックトックでは多くの高校生が動画を投稿している。それを見ると、高校生活が何とも楽しそうに思えてきた。  早く高校生になりたい。  中学校に入ってすぐ、僕はそう思うようになった。
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