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親の仕事はマンション、アパート経営。不動産管理。
じいさんは土地持ちで、バブルの不況にも、リーマンショックにもビクともしない資産を一代で築き上げた豪傑だったそうだ。
その血を色濃く継いでいる父。団塊の世代と呼ばれる人間が続々と企業を定年退職しているご時勢に、未だ現役バリバリの経営手腕を振るっている。
俺はどちらかと言うと母親似……だと自分では思っているし、性格も保守的というか、守り一辺倒だ。
だからこそ証券会社の仕事は好きだった。
中にはハイリスク、ハイリターンなギャンブル性の高い商品を客に売りつける人間もいたが、俺はそういうのを嫌う人間だった。顧客からの信頼も厚かった。
……と、自分では思っている。
マンションやアパートの経営。不動産管理。という仕事が嫌いだった訳ではないが、予め敷かれたレールの上を歩くのが嫌だった。
自分でも矛盾していると思うが、保守的な性格故に、どこかで世間の荒波に揉まれないといけないような気がしていた。じゃないと、後でとんでもないしっぺ返しがくると思っていたのかもしれない。
とにかくだ。
俺はそんな理由があって年末頃から、今現在、自分の住んでいる自宅近くのAアパートと、隣の市にあるBアパートの経営管理を任されることになった。
ちなみにAアパートの名称は「always」
Bアパートの名称は「blossom」
賢明なお方なら察することができよう。父親は管理するアパート名をアルファベット順につけたのだ。安易と言えば安易だが、省略してAアパートと呼んでも、どこに建つアパートかすぐに分かるのは便利だろう。なにしろ「A」イコール「一番目」ということだから。
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