勘違い

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「……はぁ……」  こうやって同じような事を繰り返す自分にホトホト嫌気がさす。  要は、俺に見る目がないってことなのだろう。  だからいつも、最後は同じパターンで別れしてしまうんだ。  今回の彼女はまだ別れが明確化しただけマシなのかもしれない。  後味の悪い雰囲気でバイバイしたあと、一ヶ月くらい経ってから「連絡待ってたのに」と言われて驚愕したこともある。  散々人を罵倒しておいて最後に被害者ヅラされて言葉も出なかった。 「……もう俺、一生独身でいいや……」  自己嫌悪に陥りハンドルに腕を乗せ、その上に顎を乗せて夜空を見上げた。  ポツンとフロントガラスに雨粒。  星にまで嫌われてしまったみたいだ。  泣きっ面に蜂って程じゃないけど、余計に気分が滅入る。  ホッとしている自分。すこし寂しいと思っている自分。明日になったら後悔する自分がいる。  やっぱりあの時「もちろん好きだよ」って、とりあえず言っておけば良かった。と、女々しく振り返る自分もいるのだ。 「はぁぁぁ~~~……」  もう、全てがめんどくさい。  どんよりしていると、雨音が強くなってきた。本降りだ。  降り出した時にとっとと帰ればよかった。  家に帰るのもめんどうで、叩きつける雨を眺めていると携帯が鳴った。 『A一〇五:黒絵璃人(くろえりひと)』  ディスプレイの名前に思わず声が出る。 「マジかよ~~」  俺は、いまっ、思い切りへこんでんだよ!  そう心の中で悪態をつき、この状態よりはマシかもしれないと携帯を耳に当てる。 「もしもし?」 『あ、もしもし。黒絵です。至急来ていただけますか?』 「すみません。今、出先なんですけど……どうされました?」 『なんか、変な音がするんですよ。壁からゴソゴソって。すごく近くに何かいるみたいで気持ち悪くて』  いつになくひそひそ声。  普段だって快活な話し方じゃないのに。さらに囁き声で訴えられ、フロントガラスで弾く雨粒と車体に響く雨音にゾワゾワと寒気がした。  何かってなんだよっ! 俺も気持ち悪いよ!
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