白状

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 パタンとドアが閉まり、俺の手を掴んだ璃人の手にグッと力が入る。 「泊まっていかないの?」 「作家なんだね」 「うん。まぁ」  璃人がバツが悪そうな表情でボソッと認めた。 「そっか。璃人の口から聞きたかったよ。まぁ、俺には関係ないことなんだけど」 「……ごめんね。言うタイミングわからなくて」  のけ者になった気分をなんと説明してよいか分からず、掴まれた手をそっと外し言った。 「とりあえず、今日は帰るよ」  手が完全に外れた瞬間ガバッと璃人が抱きついてきた。 「とりあえずなら帰さない」  璃人の手が俺の頬に触れ、もう片方の手で俺を抱きしめたまま、押し付けるようなキスをしてきた。  強引な勢いだけど、重ねるだけ。俺は目を開けたままだった。璃人の表情を見たかったから。  璃人はギュッと目を瞑っていた。  いつもの、薄目を開けた余裕のある表情じゃない。  らしくないね。ちょっとは俺のこと気にしてくれた?
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