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「大丈夫だよ。どうしたんだい?」
よく分からないけど、なるべく優しい声で尋ねる。夕陽はそろりと頭を上げ、璃人を見た。
それにしてもそっくりだな。しょんぼりした顔なんか、勝手に小説のキャラにしたことを謝罪してきた璃人そのままじゃないか。
ちっちゃい璃人。なんてかわいいんだ。
「自分でちゃんと言いな?」
璃人は優しい表情で言った。
おお……璃人もしっかり父親してるじゃないか。
夕陽はギュッと目を閉じ、隣の部屋の壁をおそるおそる指さした。
「んー?」
夕陽の指の先を目で追う。見れば壁に何か生えている。……生えてるじゃない。何か飛び出してる。
目を凝らすと赤色のロボットの足のようなものが壁に突き刺さっていた。壁に穴が空いている。
「えええ?」
ビックリして璃人を見る。夕陽と同じ顔で璃人が弱々しい声を出す。
「清ちゃん、ごめん。壁、壊しちゃった」
「あ、あは……」
だからってなんで刺さりっぱなし?
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