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4月8日成田発JFK空港行きの機内は
水平飛行に移りシートベルトのランプが
消えると原美咲はシートを倒して
窓の外を眺めると青い空と
雲海が見えていた。
「はあ」
美咲はため息をついた。
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1月7日のNHKホール前の通りは
正月の初詣の名残で、
野次馬でいっぱいになっていた
道路に横たわる白い上下の
スエットは血で真っ赤に染まっていて
側頭部から脳みそは吹き飛ばされ
顔の確認も出来ない程バラバラになっていた
ブルーシートで運ばれる死体を一目見ようと
野次馬は携帯を向けていた
~~~~~~~~~
その昼過ぎにNHKホール前で殺人があったと
言うニュースを観ていた一文字は
テレビの前で子供のように跳ねて踊った。
「やった!あはは」
一文字は後藤田が依頼を実行した事を確信した。
一文字は後藤田の
「機嫌が直るまで帰って来るなと言ったが」
新村一恵に状況確認の電話を何度しても
受けることなく留守録にもならず
腹を立てて電話を投げつけた
「畜生あの女、どこへ行った」
大声で怒鳴った。
一文字は九条ゆかり、矢上淳子、武坂雅美の
ところへ電話をしてその夜ホテルのスイートルーム
に呼び出したミニスカートの三人にお金を渡し
ルームサービスで豪華な料理と赤ワインを飲みながら
「さあ、今日はお祝いだ。やりまくるぞ」
「はーい」
三人は下着姿になり
雅美と淳子はバスローブの一文字の
下半身を咥えゆかりは一文字の肩を揉んだ
「おお」
雅美はティバックのショーツに
指を突っ込み激しく出し入れをすると
その女はそれを口に咥えたまま声を出して
お尻を大きく振った。
「ふん、女はスケベで金のためならなんでもする」
一文字は連絡が取れない一恵を思い出して囁いた
「んん?何か言った」
淳子が聞くと一文字は怒って返した
「何でもない」
「誰か英語が出来るやついるか?」
「はい、私帰国子女です」
一文字の肩を揉んでいたゆかりが言った。
「よし、明日お前を連れて行く」
「本当?何処へ?」
「ニューヨークだ!」」
ゆかりが一文字に抱き付いた。
「わあ、うれしいどれくらいの間ですか?」
「1週間くらいだ」
「じゃあ、日坂社長の方は?」
「ゆかり、今日からお前は俺の秘書だ、
日坂には他の秘書を派遣する」
「良かった、あの男弱くて」
「おいゆかり、そんなにやっていたのか?」
「はい、社長室で毎日」
「しょうがないなあ、あの男」
「でも、新村さんはどうしたんですか?」
「あいつは会社を裏切ったので首にした」
そう吐き捨てるように言った。
「そうですか、ニューヨークなら
ミュージカル観たいです」
雅美が一文字に甘えた。
「うんうん。いいぞ。
ただ、仕事もあるぞ」
「はいわかりました」
「ずるーい。私たちは?」
淳子が一文字に甘えた。
「じゃあ、みんなで一緒に行くか?」
「きゃー」
一文字は三人に抱きつかれて
笑いが止まらなかった。
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翌日の月曜日の朝、美喜は亮に預かった封筒を
開けると名前の付いた封筒が有った。
大原智子
團輝樹
ジュディ・山都
飯田文江
池田直子
小村友子
原美咲
黒崎絵里子
内村昭二
上原武志
宛の手紙が入っていた。
「美喜さん、この手紙を読んだら
手紙の宛ての人に電話をかけ手紙を届けて
ください」
秀樹は株主登録を終えストレートHDの
筆頭株主になっている事を内容証明
で送りつけると一文字から返事が無かった。
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友子は手紙を読み終えると
自分が管理している
株の一切の取引を停止し
團家と話をし
渡米してロイと打ち合わせした。
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美咲は手紙を読み終えると
一文字をインサイダー取引の容疑で
逮捕する事を決め逮捕状を請求した
「佐川さん一文字を逮捕するわよ」
美咲は佐川に電話をした。
「まだ、早くないですか?」
「やつは海外に逃げる可能性があるのよ」
「そうなったら面倒ですね」
「証人もこれだけ集めれば充分起訴できるわ、
それに亮の殺人教唆も自白させてやる」
「わかりました、僕のほうへ
連れてきてください。
締め上げてあげます」
「お願い」
~~~~~~~
事件から3か月後の4月8日の夜
タイムズスクエアのアベニューと
42ストリートが交差する辺りは
劇場が立ち並びミュージカルの
看板がきらびやかに光輝いていた。
「キャー」
そこに女性の悲鳴が聞こえ
Tシャツにジーンズの金髪の女は、
体の大きい黒人に体を押さえられ
車に乗せられようとしていた
「やめろ!」
止めに入った白人の男に
黒人の男の拳銃が向けられ
「パーン」
と言う乾いた音がすると
通行人がいっせいにその場に伏せた
白人の男には弾が当たらずその場に伏せていると
タイムズスクエア駅のほうから走ってきた男が
黒人の男の拳銃を蹴り上げそれが落ちる間に
その筋肉質のボディにパンチを入れ
股間を蹴り上げそのまま
ジャンプして黒人のあごをけった。
その黒人は大木が倒れるようの後ろに倒れ
男はジャンプして黒人の肋骨のすぐ下
に全体重をかけて膝を突き立てた。
黒人は口からゲロを吐きその場に白目を出して
気を失った。
ショートの金髪の女性はその
隙に駆け足で人ごみの中に
逃げ込で行った。
パトカーがサイレンを鳴らして
到着をすると警官は横たわったままの
黒人にピストルを向け大声で怒鳴っていた
「フリーズ」
黒人を倒した男は警察を見て独り言を言った
「来るのが早い、さすがニューヨークの警察だ」
男は周りを見渡して標識を見上げた
「ええと、セントラルパークは?17本先か・・・
遠い!」
男はため息をついた。
「ハーイ、さっきはありがとう。勇気あるのね」
黒いドレスにブラウンの髪の女が声をかけて来た。
「ん?誰?」
男は女の顔を見た
「私の友達を助けてくれたわ」
「ああ、さっきの金髪の女性ね。君の友達なんだ」
「ピストルを持っているやつに向っていくなんて
命知らずか、相当おせっかいな人ね」
「ああ、僕は両方かもね」
「うふふ、ところで何か探しているの?」
「はい、セントラルパークへ行きたいんです」
「じゃあこの道をまっすぐよ。タクシーですぐ」
「ありがとう」
男は歩き出そうとすると女が止めた。
「ちょっと待って歩いていくの?」
「はい」
男はまた歩き始めると女は首を
かしげて後を付いて歩き出した
「ねえ、あなたチャイニーズ?」
「どうして?」
「だってさっきのカンフーでしょう、
それに英語がとても上手」
「いや、ジャパニーズだよ。たぶん」
「サムライ素敵、せっかくだから私と遊ばない」
「ごめん、お金が無いんだ」
「えっ?ジャパニーズなのに」
「あはは、そうなんだだから遊べないよ」
「本当?じゃあ、今夜泊まるホテルは何処?」
女はにっこりと笑った
「どこだろう?」
「ホテルの名前知らないの?」
「うん、ホテルの名前だけじゃなくて
・・・自分の名前も」
「野宿するつもり?」
「あはは、考えていなかった」
「それよりお腹すいていない?」
「はは、そうですね」
ただ笑うだけの男に女は興味を持った
「じゃあ私の家に来ない、何か食べさせて上げる」
「えっ?本当」
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