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「途中まで一緒に帰るか」
高木さんが歯を見せて笑う。
「家、方向一緒でしたっけ?」
「ん?送っていくよ」
「悪いからいいですよ」
「大丈夫。久々に定時で暇だし」
「今日はデートないんですか?」
「今日は休息日だからゆっくりするんだよ」
内心休息日ってなんなんだろう、と思ったけれど、口には出さなかった。
彼女たちとのデートが休息日ではないのなら、どんな日として括っているのだろうか?
「疲れたからコーヒー飲まね?あそこの店で。奢るよ」
確かに疲れた。甘い、ハニーカフェラテでも飲みたい気分。けれど今はダイエット中。
飲むならブラックコーヒーか、無糖の紅茶しかない。
「奢っていただかなくて大丈夫です。けれど確かに、コーヒーが飲みたい気分です」
「決まり。行こう」
私は店でブラックコーヒーをほっと一息、飲もうと決める。
「なにがいい?」
カウンターの前で高木さんが訊ねてきたけれど「自分で買います」と断る。だけど
「そういうのいいから。コーヒー一杯くらいちゃちゃっと奢らせろ。面倒くさいから」
と、私に向けて手を払う仕草をしながら言うので
「じゃあ、ありがとうございます。ホットのブラックコーヒーで」
と言うと、高木さんが少し驚いたような顔をした。
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