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最近さすがに太り過ぎているかも、と自覚があった。歩く時太ももが擦れすぎて痛く、赤く腫れてしまうこともあった。
「絶対に痩せるのでクビにしないでください!」
再び店長に向かって深々と、額に地面を擦り付ける勢いで土下座をする。
「土下座するのをやめてくれ。クビにする訳ないだろう。佐藤がいないとこの店は回らない」
店長が私の頭に手をポンと乗せてきた。
「明日は定休日だからゆっくり休め。火曜日までに新しい制服がくるか分からないが発注しておく。多分間に合わないだろうから、次の勤務は白いブラウスとズボンを持ってきてくれ」
「はい、分かりました」
目尻に少しだけ溜まった涙を、肉付きの良すぎる親指で拭う。店長の優しさが身が染みる日だった。
もうこんな惨めで情けない思いはしたくない。
なにより店長にこれ以上迷惑をかけたくない。
絶対、絶対痩せてやる。
私のお尻に火がついた。
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