▶︎79kg 困惑のツーサイドキス

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「おはようございますー」 店に着くなり厨房でケーキを作っている天宮店長に頭を下げる。自前のポロシャツとブラウンのズボンを履いて店に来た。 「おはよう」 「うわぁ、美味しそうなケーキですねぇ」 「味見するか?」 店長は泡立てていたチョコ生クリームをスプーンにひと匙分乗せてきた。 「え、いいんですか?・・・ってだめだめ!私、ダイエットするって決めたので、毎朝の味見も必要なとき以外はやめます」 「出来栄え、みてくれないか?」 「はい、分かりました」 速攻で店長の差し出すスプーンにパクついた。・・・ダイエットを瞬時に忘れたみたいに。 「はあ。店長の作るクリームは超絶品です」 天宮店長のケーキ作りの腕前は天才的だと思っている。 甘すぎないクリーム、舌触りは滑らかで口の中でほわっと溶ける。スポンジはきめ細やかでしっとりふわふわ。 私が働くお店“ドルチェ・ドゥ”が、この街一番人気のケーキ店なのは当たり前だ。 東京進出も夢じゃないってひっそり思っている。 「スポンジも食べてみて」 「はーい」 結局、クリームとイチゴ半切れが乗ったスポンジまで味見してしまった。 元々ぽっちゃり気味だったけれど私がさらに太った原因は、この店で試食をしすぎたことにあると思う。
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