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赤いエプロンをつけて店内の清掃をする。ショーケースもピカピカに磨き上げた。
最高に綺麗に掃除をした。
店長の作ったケーキをショーケースに並べていく。芸術品のような可愛いケーキたち。
「そろそろ、開店ですね。ドア、鍵開けて大丈夫でしょうか?」
「よろしく」
時計の針が十時を指し、私は店前にボードを置く。おすすめ品の説明は私がチョークで書いたものだ。
「今日も頑張りましょう。あ!おとといは制服二枚も壊してすいませんでした」
改めて頭を下げると店長がクスっと笑った。
「もう謝らなくていい。ダイエットするって言っていたが、サイズ上げといたから」
「すいません。お恥ずかしい・・・」
天宮店長は濡れたような長めの黒髪に、シュッとした切れ長の目で肌が白い。
細身で身長が高くてイケメンという部類に完全に入る人なんだけれど、何年も彼女がいないらしい。
高校生バイトの真夏ちゃんが「男が好きなんじゃないですかね?」と、耳打ちしてきたことがあった。
本当にそうなのかは分からないけれど、なにかしらの理由がないと、あの見た目で彼女を作らないのはあまりにも不思議すぎる。
一年、二年じゃなくて、噂によると五年くらいいないらしい。
ドルチェ・ドゥは、店長目当てのお客さまもたくさんくる。わざわざ奥にいる店長を、私に呼ばせたりするお客さまもいるくらいだ。
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