▶︎79kg 困惑のツーサイドキス

4/33

734人が本棚に入れています
本棚に追加
/433ページ
最初のお客さまは主婦のように見える女の人で、それから人が途切れずにお客さまがケーキを買いにきた。 お客さまの入りが落ち着いてきた時間帯、今日は昼の十二時頃に一時間休憩した。平日かつバイトの子が入ってくる曜日は早帰りをしたり、さらに一時間休憩したりする。 個人経営のお店なので頃合いを見てとり、休憩時間の長さやタイミングはバラバラだった。 休憩室でチキンサラダとおにぎり二つのランチをとっていると、お客さまが来なくなり暇になったのか店長がちらりとこちらに顔を覗かせた。 「そんなんで足りるのか?いつもと量がかなり違うから。あまり無理しちゃだめだぞ」 これまでの私ならば、大盛り弁当にカップラーメンをつけて、それらを甘いドリンクで流し込んでいた。 店長は落ちついた声で優しく言ってきたけれど、その言葉に甘えてはいけない。 「無理してません。必ず痩せますから、期待しててください」 「俺は別に、痩せてほしいとか思っていない。そのままでもいい」 「だめです。制服破れちゃいましたし、さすがに弊害ありすぎます」 私はシャケおにぎりをゆっくり咀嚼して、米一粒一粒を味わうかのように食べた。
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!

734人が本棚に入れています
本棚に追加