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夕方にバイトの真夏ちゃんが入ってきて、人の入りがそれほどでもないため、今日は真夏ちゃんに任せて家に帰ることになった。
真夏ちゃんは黒髪のツインテールで、可愛いものが大好きな、明るい性格の十七歳の高校生だ。
「私に任せてください。明日香さんお疲れ様でしたぁ」
とびきりの笑顔を向けて挨拶してくれる。
私は甘えて、私服に着替えて店から出ようとしたとき、
「佐藤じゃん。今日は早帰り?」
と、高木さんに声をかけられた。
「はい、そうですけど」
「俺も今日はケーキ買う予定なかったんだけど、帰り際に店の前を通ったんだ。珍しく定時も定時で帰れたんだわ」
高木さんは黒いスーツを着こなし、緑のネクタイをきっちり締め、爽やかな笑顔を見せる。
高木晴希は、テレビにひっきりなしに出演している俳優にも負けないくらいのルックスだった。
髪は光に当たると茶色く、アーモンドのような目で、鼻が高く、唇も厚くて整った形をしている。顔の輪郭もシャープで小顔。
だけど爽やかな笑顔とは裏腹に女好きで、毎度違う女の子を店に連れてきていた。
爽やかさのかけらもないと内心では思っている。
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