可愛いアクマ?

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可愛いアクマ?

「呼んだ?」  可愛らしい笑顔でカレは言った。 「キャ……」  急に声を掛けられ佐野真由は固まった。  ここは真由の勤める会社の備品庫の中。地下3階にあり、出入口には重い扉がある。その為、扉を開閉する時には必ず音がする。今、その音はしなかった。それなのに見知らぬカレが立っているのだから驚くのも無理は無いだろう。  そもそも真由は、ひょんなことから閉じ込められてしまったのだ。絶望すら感じ泣いていたのだが、驚いた拍子に真由の涙が引っ込こんだ。 「あ、驚かせちゃった? ごめんね、真由チャン」  ……え? え? なんで私の名前を知ってるの?!  真由は、カレに恐怖心を持ちながらも、そのルックスに目が惹きつけられた。  人懐っこそうなウルトラキュートな笑顔。小顔の中の印象的な大きな瞳。シミひとつないツルツルなお肌。羨ましすぎる…… マッシュルームカットで、その毛先は無造作に遊ばせている。カレは、今をときめくアイドルグループの男の子に似てる。  髪色が特徴的で、これってブルーグレーっていうのかしら?  こんな風に間近で見つめられたら、真由だけでなく世の女性達は皆ハートをムギュンと鷲づかみにされることだろう。  ただ、気になるのは頭についている二本の ……これってツノ?   それに、カレの背中には見たこともない真っ黒なツバサらしきモノが見える。  それがまた、スレンダーなカレの肢体によく似合って見える。  ……アクマのコスプレか何か?
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