テンシ登場

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テンシ登場

 ハァハァと肩で息をしながら眉間に皺を寄せ苦しげな表情をしてる男のヒト。  ……何でこのヒト、息切らせてるの? と、真由は疑問に思った。  このヒトもまた、とても変わった格好をしている。  真由は、おもむろに眼鏡を外すとハンカチで眼鏡の曇りを拭った。そして、眼鏡をかけ直すと視界はとてもクリアになった。  ついつい、そのヒトを吟味するように眺める。  テレビや演劇でしか観たことがないような真っ白なコスチュームの出で立ち。小顔の上にぬけるように肌が白い。目鼻立ちがくっきりとしていて彫りの深い顔立ちをしている。あぁ、シミひとつない! プラチナブロンドのロングヘアがとっても素敵だ。サラサラと流れるような艷やかさでキューティクルがキラキラと光っているよう。髪のお手入れどうしてるのかしら。シャンプーは何を使ったらこんなに美しい髪を維持できるのかしらと、真由は聞いてみたい衝動に駆られる。  そのヒトは、まるでハリウッド俳優を思わせるような、美しいお顔のイケメン。  映画のワンシーンのように、何故かこちらを鋭く睨んでいるのが穏やかではない状況だけれど、真由は吸い込まれたように目が離せない。  真由が気になったのは、ツヤツヤヘアーの上にどういうわけか輪っかが浮かんでいること。それに、そのヒトの背中には真っ白なツバサがチラチラ見え隠れしていて、そのヒトの呼吸に合わせツバサも揺れ動いているのだ。  真由は思った。  今日ハロウィンだっけ?! 嫌、違うか。もしかして巷ではコスプレするのが流行ってるの?  このヒト、テンシのコスプレしているもの。
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