20人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「あの……これはどういう」
「あらら、テンシさんが何故ここに?」
真由とカレの声が重なった。
カレは、先程の翳りを帯びた表情から打って変わってテンシを睨んでいる。そして、真由を庇うように一歩前に進み出た。すると、
「真由に触るんじゃねぇ、ボケアクマが」と、毒づいている。
……え? え?! なんでこのヒトも私の名前を知ってるの!!
真由は個人情報の保護が守られず、だだ漏れになっている世の不条理を儚んだ。
その合間も、テンシがアクマに、にじり寄る。身長差のある二人がバチバチと火花を散らす勢いで睨み合っている。
真由は内心混乱を極めたがそれとは裏腹に睨み合う二人のポーズは、まるで一服の名画のような美しさを感じてしまう。
真由は、両手を胸の前で組みポーッと見惚れてしまった。
「あぁ、なんと神々しい美しさ。究極の萌えリズム」
つい心の声が漏れた真由。
テンシとアクマが同時に真由を見た。
「何言ってんだお前?」
「真由チャン、ボクだけ見てね」
アクマは嬉しそうに真由にウインクすると、テンシがアクマの頭ををポカッと叩いた。
「イタタ……テンシのくせに暴力絶対反対!!」
アクマが大げさに頭を押さえ顔をしかめ訴えている。
真由は、漫才でも見ているような気分になった。
最初のコメントを投稿しよう!