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「真由、思い出したのか?」
「真由チャン……」
テンシとアクマが心配そうな顔で真由を見る。真由が泣き出したからだろう。
「う……ん。テ……ンシ……と……アク……マが……来た……から……ビックリし……て……忘れ……てた」
真由の目から、後から後から涙がこぼれ落ちる。二人の登場が強烈すぎたから、頭のどこかにおしやって忘れたかったのかもしれない。
「真由、そんなに泣くな。眼鏡が曇ってしまっただろう。曇ったままじゃ世の中キレイに見えないぞ」
「う、う……ん」
真由は、眼鏡を外すとハンカチを取り出したが、激しくしゃくりあげると床にしゃがみ込み泣き崩れた。
「あーぁ。テンシさんたら真由チャン泣かせちゃって。神様に言いつけちゃおっかな」
アクマがあきれた顔をしてテンシを見る。
「うるせぇ。アクマのクセに何言ってるんだ。元はと言えばお前のせいなんだぞ」
「はて、なんのことでしょう」
アクマが悪びれることなく、可愛く小首をかしげる。
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