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駿と二人で暮らし始めて、1ヶ月が過ぎた。
毎日が幸せ過ぎて、櫂は今日死んでもいいと思う。
けれど、駿の笑顔を見る度に、やっぱり明日もこの笑顔がみたい、と欲が出てくる。
愛って人を欲の塊にするよな、と櫂は最近気がついた。
最初は、ただ側にいるだけで幸せだったのに、触りたい、キスしたい、中に挿入りたい、と次々欲求が生まれてくる。
櫂は、毎日その欲望と戦いながら、多分それほど何も考えていない駿を見た。
「な、週末、怜兄さん達来るって」
駿が、スマートフォンを見ながら言った。
「ふうん、何しに来んの?」
せっかくこの週末は二人とも休みだったのに、邪魔でしかない。
「なんか夏物の服、取りにくるついでに遊びに来るんだって」
「そんなのわざわざ来なくても送りつけてやれよ」
櫂は、憎まれ口を叩く。
怜は、ずっと駿のことが好きだったし、結婚したと言っても油断ならない。
「まあ、いいじゃん。俺、美咲さん好きだなー。話しやすくてさ」
「えっ?」
櫂は、聞き捨てならない、と駿を見た。
「だから、美咲さん。いい人じゃん?」
「いい人なら、すぐ好きになるのかよ」
「そういう訳じゃないけど…」
カレーを食べ終えて、食器を洗い、ソファに座る駿の上に乗しかかる。
「わ、なんだよー」
「バツとして、カレー味のキスをする」
「やだっ!やめろよー、ちゃんと歯、磨けって!」
いつの間にかじゃれ合いになり、二人で身体を触りあった。
「お風呂入ろ」
駿が櫂の頬を包んで可愛く言ったので、許すことにした。
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