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「しゅーん、大丈夫?」
布団の上で汗だくになって、二人で寝転がった。
「ん…大丈夫…」
駿は、腕で顔を隠すようにしている。
その手をどかし、額に張り付いた前髪をすき上げる。
「風呂で汗、流そうか」
「そうだね…」
駿がノロノロと起き上がろうとするの止めて「お湯溜めてくるよ」と立ち上がった。
もう、すっかり日は暮れて、窓から見える海に光が写り、キラキラと煌めいている。
こんな風にゆっくりと過ごすのは、久しぶりだ。
風呂を軽く洗って湯を溜めていると、駿が来て、後ろから抱きついてきた。
「かいー」
「ん?何?どうした?」
「ありがとね、連れて来てくれて」
「な、なにいってんだよ、このくらい」
あまりに素直で可愛い駿に、櫂は更に夢中にさせられる。
今日、死んでもいいかなあ…と思うくらいに幸せだった。
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