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駿の気持ち
日曜日に、怜と美咲がやってきた。
結婚式に会って以来、1ヶ月振りだ。
お互いに仕事が忙しいらしく、まだ新婚旅行にも行けていないらしかった。
「わー、怜兄さん、美咲さん、いらっしゃい!」
駿は、抱きつかんばかりの勢いで歓迎している。
櫂も美咲の手前、ニコリと笑って「久しぶり」と言った。
「駿くん、櫂くん元気だった?」
髪をショートにした美咲がニコリと笑う。
怜が、微笑みながら駿のことを見てい
るのを櫂は見逃さなかった。
駿が美咲を怜の部屋に案内すると言って、二人で二階に上がって行った。
「おう、櫂、どうだ?二人暮らし」
怜がニヤニヤしながら聞いてきた。
「ああ、そりゃもう最高」
櫂は負けじとニッコリ笑った。
「ふうん…」
怜は、そう言いながらソファに腰掛ける。
「あんまり駿の身体に負担かけるなよ」
怜に言われて櫂はムッとする。
「べ、別に負担かけてなんか…」
実際のところどうなのか分からなかった。
いつも求めるのは櫂のほうばかりで駿から求められることは無かった。
駿は本当はしたくないんだろうか…
急に不安になってきた。
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