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母校では今まさに、この年の卒業式が行われているというのに、店内は賑わっていた。テーブル席に一人座る神島が窓越しから外を眺めていると、喫茶店のドアベルが心地よい音を奏でる。
「神島くん! 久しぶり。あの時と全然変わらないねぇ」
「室井さん、お久しぶりです。元気そうですね」
今度はドアベルが激しく鳴った。二人の男性客が入ってくる。
「よお! 神島っ。お前変わんねぇな」相変わらずの葛城は少し肉付きが良くなっていた。
「やあ神島くん、室井さん。あれ? 室井さん、だよね?」高柳が室井に訊いた。その質問に室井は眉根を寄せ「そうよ。でも今は苗字が違うけど。私老けたでしょ」と返した。
「凄く、大人っぽくなったね。同い年とは思えない……」高柳はまじまじと室井を見つめた。
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