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「おいおいおふたりさん。仲良くお喋りはいいと思うけど……すこぉしボリュームダウンしてな?ワタルんがうるさいの好きじゃないの知ってるでしょ?」
「…おっと、そうだった」
口をぱっと手で塞ぐ
手と顔が合わさった音が廊下に響いた
廊下では、彼ら以外の声は響いていない
教室内でもコソコソとしたものはあっても普段学生教室であるようなガヤガヤとしたものはなかった
こうなった原因は本を読んでいる室屋の存在だろう
室屋が騒がしいのが嫌い。ということはこの学園の全生徒が周知の事実
彼らが通ったりする時は彼の不快を買わぬようにファンは過度な声でのお喋り、発狂、突撃、をするのを抑え盗撮に励むのであった
よく聞いたらシャッター音がチラホラと聞こえた
「(室屋さんがおるとほーんと楽ですわあ。みんなお喋りすんの抑えてくれるし、通るのラクしょーラクしょー♪………ん?)」
「(ちょっと待て、食堂行かせて室屋様が機嫌悪くなったら提案した俺に天誅が下ってしまうのでは……?)」
今から堂園がわざわざ4人を連れ起こそうとしていること。それは王道転校生との接触イベである
転校生を好きになれば万歳、転校生が彼ら4人のうち誰か好きになれば万々歳……とあまり期待していない軽い気持ちでこの作戦を決行したという訳だが……
つまりそれは騒がしいのが嫌いな室屋をあの転校生と愉快な仲間たちと親衛隊が繰り広げている阿鼻叫喚の地獄とも言える食堂へ連れていくということだ
よく考えてみて、自分がしてしまった恐ろしい判断に背筋が凍った
だが、進んでいるうちに聞こえてくる音で期待は膨らみ氷は解けていった
室屋御一行、食堂前にご到着である
ドアからはもはや声が溢れ出ていた
暁と蓬莱は明らかに嫌な顔をした
「うわぁ……最っ悪。これ絶対生徒会の奴ら来てるでしょ…」
「……………」
「暁くん。1人だけ逃げるのはずるい。に、逃がさないよ?」
「………チッ!!!」
「イデッ!?だから殴んないでってツッキー!!」
「もう1発いるか?」
「サーセン若…………はい、では皆様。準備はよろしゅうございますか?」
「ごめん最高に行きたくない」
「はいではいきましょー、オープンザプラインス!!」
「ここ鑑定○じゃねえよ」
堂園の手によって無駄にでかいドアが開かれていく。騒々しい音がこちら側へこぼれてきた
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