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ヒミコが鋭い口調でトワノに言った。
「トワノ。この電話番号の位置、逆探知しなはれ」
トワノは事も無げに答える。
「はい、おねえさま。5分あれば」
トモエはぎょっとして、つい大声を上げた。
「そんな事出来るんですか?」
ウルハが意味ありげな笑みを顔に浮かべながら言った。
「トワノは機械とITにゃ滅法強いんだ。そのぐらい朝飯前さ」
ヒミコがトモエの肩に手を置いて静かに言う。
「その同級生、助けたいか?」
「もちろんです! 早く警察に……」
「警察に頼ると、父親の元に戻されるだけですえ。改めて売り飛ばされるのがオチや」
「じゃあ、どうすれば!」
「うちらに任せなはれ。こう見えても商売人やさかい、いろいろ世間の抜け道は知ってますわ。ただ、あんさんには囮になってもらわんとならん。相手に近づかん事には話が進まん。その覚悟ありますか?」
トモエは立ち上がって大きくうなずいた。
「何でもやります! 助けて下さい、あたしもルリも!」
「はいな。引き受けましたえ」
きっかり5分後、トワノのノートパソコンの画面に地図が映し出された。東京郊外の倉庫街の建物だった。固定電話の番号も表示される。
ヒミコはトワノのスマホを借りて、その番号にかけた。相手が出た。トモエには相手の声は聞こえなかった。ただ茫然と、ヒミコの声に耳を澄ましていた。
「突然すんまへんな。はあ? ウチが何者かはどうでもよろしいやろ。あんさんのとこが取り逃がしたおなごはん、引き渡す言うてますんや。名は御前崎友恵。へえへえ、取引がしたいいう話ですわ。ほな、時間と場所を決めてもらえますか?」
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