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トモエはうなずいて、改めて尋ねた。
「では、ヒミコさん、ウルハさん。ここはどこなんでしょうか?」
ヒミコが答える。
「東京都千代田区外神田、この建物は神田佐久間町て住所やけどね。俗に言う秋葉原の街や。聞いた事ぐらいあるやろ?」
「え! あたし、秋葉原に来てたんですか?」
「さて、今度はこっちが質問する番や。あんさん、あんな所で何してたんや? それもあんな薄着で。地元の人間やないやろ?」
ヒミコは部屋のドアに足を向けながら、トモエを手招きした。
「ちゅうても、立ち話もなんやろ。下の階が社員の休憩室になっとるさかい、そこで話聞こか」
案内された休憩室は思いの他広かった。三人掛けのソファがコの字型に並べて在り、無骨な造りの低い大きなテーブルがあった。
ウルハがマグカップに入った暖かいココアをトモエに渡してくれた。トモエは今までの経緯を二人に話し始めた。
北関東の地方都市で高校に通っていた事。母はトモエが中学生の時に病気で亡くなり、それ以来以前から酒癖の悪かった父親の素行がますます悪化した事。
高校卒業後、就職する事になっていた地元のスーパーの内定を、知らぬ間に父親が勝手に取り消し、卒業式のその夕に、突然海外へ行けと言い出された事。
トモエは拒んだが、無理やり父親に連れ出されそうになり、隙を見て父親を突き飛ばし、家から逃げ出して、着の身着のままで電車に飛び乗った事。
父親は、他にもトモエと同じ年頃の若い女が大勢集められ、大金と引き換えにどこか外国で男たちのために働くという話であった事。
その仕事の中には、会った事もない外国人の男たちの「夜の相手」をする事も含まれる事など。
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