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三月二日 ストック(紫羅欄花)
拝啓
お誕生日おめでとう
素敵な春の柄のワンピースを着て、嬉しそうに
トゥーシューズを履いたようにくるくるまわ
って僕に嬉しそうに微笑む君。
悔しいけれどその魅力に僕は負けを認めるのだった。
敬具
三月二日、
僕はその手紙に封をして机の中へとしまった。
机の上には淡い色とりどりのストックの
花束が置いてある。
まだ少し寒いけれど花は春の匂いをかぎとり
春が来たことを告げる。
僕は花束を持って、小さな小箱を内ポケットに
入れた。
彼女はYESと言ってくれるだろうか。
僕は幸せをつかみたい。
抱きしめたストックの花を抜き取りて君の頬に口づけの代わり
了
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