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三月二十六日 薔薇(ピンクのバラ)
拝啓
お誕生日おめでとう
ぴぴっと小鳥鳴く。春の訪れと共にな
んの為に鳴くのだろうと僕が言うと
クスクスと君は笑い、
伸びをして、春の息吹を胸いっぱい吸って
馬鹿馬鹿しいことを言うのねと僕に言う。そ
らがこんなに青くて暖かいのだから鳴くのよ、と君は応えた。
敬具
三月二十六日、
僕はその手紙に封をして机の中へとしまった。
彼女が僕の部屋の籠の中の鳥と
遊ぶのに飽きたからだ。
そして僕の机の引き出しを開けて
手紙をみつける。
サッと手紙をとりあげると、誰宛なのか僕に問う。
僕は取り戻そうと追いかけるが、君はスカートを
ひらりひらりとひるがえしながら笑顔で逃げてゆく。
僕はそんな君が春の精だと思った。
部屋のピンクのバラが頷いたように思えた。
君はそうピンクの薔薇を愛でる人刺ある人さえ愛の意味知る
了
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