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三月三十日 アルメリア(浜簪)
拝啓
お誕生日おめでとう
飽きることもなく浜辺を歩く君に僕は
類縁性を感じてしまう。
目立たないようでいて惜しげもなく
理想の美をさらけ出す君を僕は
愛している。
敬具
三月三十日、
僕はその手紙に封をして机の中へとしまった。
そして浜辺に行きたいという彼女に付き添い
春の海を堪能する。
穏やかな穏やかな打ち寄せる波々に
僕の恋心が君に届きますように。
ふと見るとアルメリアが岩の間に咲いていた。
別名、浜簪(はまかんざし)と言われるその花を見て
帰りに君に似合う髪飾りを買おうと思った。
海風の厳しさを知るアルメリアその花のような君の優しさ
了
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