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三月三十一日 ニゲラ(黒種草)
拝啓
お誕生日おめでとう
ニコリと笑って嬉しそうにお礼を述べる君。
元気いっぱいな君は僕が贈った小鳥と合わせて
ラララと歌う姿が微笑ましいと思った。
敬具
三月三十一日、
僕はその手紙に封をして机の中へとしまった。
彼女は僕の贈った小鳥を籠に入れると、
僕の部屋の蔵書に驚いたような顔をした。
どれもこれも彼女にとっては小難しい内容だ。
だけどその中に一冊、『ツルゲーネフの初恋』がある。
彼女はその本をみつけられるだろうか。
もしみつけたら僕は・・・。
ひそやかに君と僕とで分かち合う合図はニゲラ互いの胸に
了
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