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「ふう……」
緊張しちゃうな……おばあちゃんの知り合いらしいけれど、どんな人だろうか。
もう一度手紙に目を落とす。
「明石灯様へ
雪子様の訃報を拝見いたしました。謹んでお悔やみ申し上げます。
つきましては下記住所までご足労いただくことは可能でしょうか。何かあれば電話も受け付けております。
平本竜二」
この手紙が来て、私は一も二もなく電車に飛び乗っていた。
――この人に会えば、おばあちゃんのことがわかるかもしれない。
そんな期待を胸に私はここまでやってきたのだ。
ピンポーンと音がして特有の浮遊感がふわりときた後、エレベーターの扉が開いた。
私は覚悟を決めてエレベーターの外に出る。
正面に、「平本特別事件探偵事務所」と表札の掲げられたドアが現れた。
インターホンを鳴らす。
すぐにバタバタと足音がして、ノブが回る音がして――。
「お待たせ――うおお!?」
どれだけ勢いよくドアを押したのだろう。蝶番がバキリと折れてドアごと誰かがこちらに飛んでくる。
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